海洋酸性化で起きていること
前回は酸性雨だけでなく海洋酸性化が進んでいるということについてでした。
海は大気中の二酸化炭素の30%を吸収していて、吸収して炭酸になった後に分離して水素イオンが発生することで酸性化が進みます。
つまり、大気中の二酸化炭素が増えるほどに海洋酸性化も進行するというわけです。
海洋酸性化が進んでくると様々な影響が出てきます。
まずはサンゴです。
サンゴは炭酸カルシウムで骨格を形成します。
海が酸性化することによって、炭酸イオンおよび炭酸カルシウムが減少してサンゴの生育に影響が出てきます。
骨格を形成するためには石灰化を行うわけですが、その速度が遅くなっているというレポートもあります。
オーストラリアのグレートバリアリーフでは、これまで400年間はサンゴの骨格形成速度は安定していたのですが、1990年代以降はその速度が約14%減少しました。
インド洋や太平洋でも同様の現象が起きています。
サンゴだけでなく生物には環境に適応していく能力があるから気にすることはないという意見もあります。
ただ、サンゴにとって住みづらい海になってきていることは明らかで、その原因の一部に人間活動が関わっている可能性があることも否定できません。
同じ地球に住む住人として、ストレスを抱えている隣人に「適応してるんだから問題ないのでは」というのはどうなのでしょう。未来の子孫たちに見られていることを忘れてはならない気がします。
世界的に見てもサンゴ礁は減少傾向にあり、国際自然保護連合(IUCN)によるとサンゴの種の3分の1が絶滅のリスクを抱えているとされています。
その原因は一つではなく多岐にわたると思いますが、海洋酸性化もその一因として考えられています。