世界最大級の強い流れを誇る黒潮で海流発電
日本近海には黒潮,親潮などの海流が流れています。
親潮はロシアのカムチャッカ半島から流れて来る寒流の千島海流の別名で、プランクトンが豊富なことが特徴です。
豊かなプランクトンが魚たちを育てるため親潮と呼ばれています。
一方の暖流の黒潮は日本海流の別名です。
プランクトンの量の少なさから透明度が高く、濃い青色をしていて黒っぽく見えるため黒潮と呼ばれています。
黒潮のもう一つの特徴はその強い流れです。
北大西洋を流れるメキシコ湾流から北大西洋海流と続くガルフストリームと並んで世界最大級の強い海流として知られています。
その速さは秒速2メートルで時速にすると7.2キロメートルに相当します。
資源に乏しい日本としては、この強力な海流を新たなエネルギー資源として生かせないかと研究を続けていました。
2017年に株式会社IHIとNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)は発電出力100kW級の水中浮遊式の海流発電システムの「かいりゅう」を完成させ、鹿児島県十島村口之島の離岸距離5kmの水深約100mの場所に設置して世界初の海流発電実海域発電実証試験を行い、発電出力100kWを達成しました。
海流発電の特徴の一つとして安定した稼働率が挙げられます。
同じく再生可能エネルギーである風力発電は風がないと発電しないため稼働率は20%ほどで、昼間の日照が条件である太陽光発電はそれを下回ります。
それらと比較して黒潮の海流は一定方向に安定して流れているため、稼働率は40~70%になります。
まだまだ発電コストが高く、発電場所からの距離が離れていることによる送電ロスなどの問題もありますが、とくに本土からの電力供給がされていない離島での発電資源としても期待されています。