どこまでスマート農業は進むのか
農業大国であるオランダに日本が学ぶことは何でしょうか。
陸続きの隣国に大きな消費とニーズがあるという点やチューリップなど特定の農産物に集中して絞り込んでいる点など、オランダ特有の事例も多く、真似してもうまくいかないことも少なくありません。
ただ、スマート農業の積極的な導入による効率化という点では学ぶことも多いです。
情報通信技術ICTを用いた農業サービスが日本独自にアレンジされた形で普及していくことは日本の農業の未来を良い方向に導くと考えられます。
まずは、労働負荷の軽減です。
農作業は肉体労働が占める割合が多く、世間的な農業のイメージも肉体労働というイメージを持つ方が多いです。
新しい技術システムを導入することで、作業負荷を大幅に減少させて、イメージを大きく変えることが可能です。
たとえば、無人走行が可能な田植え機やトラクターを利用すれば、自動で農作業を行うことも可能です。
高齢になるほど、個人でできる作業量は少なくなります。
ほかにも収穫ロボットや田んぼや畑の様子をリアルタイムで確認できる農業ドローンなどが実用化されてきています。
農業従事者の高齢化も進んでいる日本では、これらは大きな助けになります。
また、作業の大部分で無人のマシンやロボットの手を借りることで、これまで農作業を行うことで手いっぱいだった状況を脱却して、作業の管理や効率化に人間の知恵を集中できるようになります。
もちろん、手作業が必要な部分も残っていくことになると思いますが、作業中心の農業から、管理する農業へ転換することも可能になります。
作業する農業しか選択できなかったこれまでから、管理する農業も選べるようになることで、多様な農業形態が共存して、新たに農業に参入するようになる人の数も増えていくことでしょう。
さらに、労働負荷の軽減に加えて、農業知識の共有も大きなメリットです。
農業を始めようという方が最初にぶつかる大きな壁が経験不足です。
何から始めたらよいかわからない、また自然が相手になるため、トラブルが起きた場合にどのように対処したらよいかわからない、というようなことも多いです。
逆に、古くから農業に携わっている方は、豊富な経験とノウハウを蓄積して持っています。
農業上級者の知識やコツを農業クラウドサービスで幅広く共有してサポートを受けることで、農業技術の底上げが可能になります。
農作業の負荷の軽減やノウハウの共有といったICTの積極的な導入は、農業従事者の高齢化や農業人口の減少といった日本の農業の問題を解決する糸口になりそうてす。