放置された森が増えている
森は私たちに多くの恵みを与えてくれています。
地球上の二酸化炭素を吸収する自然の力だけでなく、水を貯え、災害を防いでくれます。
これまで多くの人が森で働き、森と共生してきました。
森は適度に人間の手が入ることで絶妙なバランスを保ってきました。
日本の森林は大きく分けて天然林と人工林に分けられます。
天然林はもともと自然に発生した森林で全体の半数の1,300万haを占めます。
天然林のほとんどが広葉樹林です。
人工林は人が種をまいたり、苗木を植えて作られた森林です。
育成林とも呼ばれ、下草刈りや間伐、枝打ちと人が森林の手入れをすることで成立しました。
人工林は全体の4割の1,000万haを占め、針葉樹林が多いのが特徴です。
主に戦後に荒廃してしまった森林の復旧造林やその後の高度経済成長期の木材供給を支えるために造林されました。
その時期に植栽した木が成長し、現在の多くの人工林では50年生以上の充実した森林資源となっています。
しかし、近年、海外からの木材輸入なども影響して、国内の林業は低迷しています。
森で働く人の数は右肩下がりで減少し、管理しきれなくなった放置林が増えています。
20ha以上の山林を所有している林家の経営状況は年間で利益が約180万円に対して経費が170万円かかります。つまり年間の10万円の利益ということです。
厳しい経営状況の中、相続するタイミングで廃業したり、規模を縮小する方が増えています。
そうなると人の手入れが入らなくなった森林、放置林となって様々な影響が出てきます。