放置林が増えるとどうなる
戦後の荒廃の時代に山への植林が本格的にスタートし、高度経済成長を支えてきました。
その時に植林された人工林は樹齢50年を超えて、豊かな森林資源となっています。
反面、林業を営む人口は減り続け、人の手の行き届かない放置林が増えています。
現在、日本の森林の40%を占める人工林は、人の手による様々な作業を必要としています。
元々、人工的に植林されているため、過密な状態で木々が成長していくためです。
一本一本の木々の間を適度に保つために行われる「間伐」という作業、枝通しがぶつかりあっていたり、枯れてしまった枝に行う「除伐」、木々の下草を刈る「下刈り」など、人工林を守る作業は多岐に渡ります。
こうした作業がされなくなった放置林では様々な悪影響が起こります。
適度な伐採が行われなくなった森では、枝が伸び放題になり、日光を遮断します。
そうなると、森の中が暗くなり、木々の下に生えていた植物や低木が成長できなくなります。
植物や低木の植生が変わってなくなると、それを食べていた昆虫、動物などが連鎖的にいなくなっていきます。
さらに、植物が根を張らなくなると、土壌にも変化がおきますし、木の根の成長も抑えることになり、しっかりと根を張らなくなります。
そうなると、土壌がゆるくなり、大雨などの際に土砂災害を引き起こすリスクも高くなります。
また、人工林に植林された木の多くをスギが占めています。
多くのスギが放置されて伐採されなくなると、スギ花粉も大量になります。
近年、花粉症に悩む方が増えた原因は、スギの放置林の影響ともされています。
人工林とはいえ、森は生きています。
その森を産み出したのは人です。放置林の問題は、早期に取り組まなくてはいけない問題として無視できなくなってきています。