森を守るプロジェクトが動き出す
日本に多い人の手で植林された人工林は、継続的に間伐などの管理を行う必要があります。
管理できなくなったり、放置された森林は荒廃林となり、生態系の乱れや土砂災害を引き起こします。
林業従事者が減少する中で、増え続ける放置林や荒廃林。
このような現状を打破しようとさまざまな取り組みが始まっています。
東京都の檜原村では「森をつくる太鼓プロジェクト」が始動しました。
森を管理する時に発生する間伐材を使用して太鼓を製作し、販売しています。
この太鼓は和太鼓としては初となるFSC認証を取得しています。
FSCとはForest Stewardship Councilのことで、環境的、経済的な権利や需要を満たすよりよい森林を増やすための活動を行っています。
「森をつくる太鼓プロジェクト」では和太鼓の製造販売の他にも、森をつくる太鼓による演奏会やノルディックウォーキングや木工のワークショップも行われています。
日常にある木製品がどのように森林から作り出されていくのかを体感することができます。
サントリーでは「天然水の森」という活動を行っています。
森の健康状況を最新のゲットフローズやレーザー航測といった方法などを用いて土壌や地下水などを調査して、専門家とともに森林ごとに必要とされる整備を適切に行っています。
たとえば、その一例がナラ枯れ対策です。
夏の豊かな森林は緑で満たされていますが、ナラ枯れが発生すると、葉が赤茶色になって枯れていきます。
ナラやクヌギなどの樹木で発生します。
カシノナガキクイムシが媒介者となり、ナラ菌に感染してしまうことが原因です。
カシノナガキクイムシは繁殖のために高齢化して巨大化した老木に卵を産み付けます。
これまで、ナラやクヌギなどの若い木は、巨大化する前に伐採されて利用されていたため、巨大化することはありませんでした。
ただ、近年、人の手が入らなくなった放置林が増えて、ナラやクヌギの木も巨大化したまま放置されるようになり、そこにカシノナガキクイムシが大量発生するようになったのです。
天然水の森の活動では、古い木がナラ枯れで枯れるというのも自然のサイクルであると考えて、バランスを取りながら対策をほどこしています。
荒廃してしまった森林を健全な状態に戻し、未来に向かって生き続けるような地道な活動が行われています。