海洋生分解性プラスチック
生分解性プラスチックは自然界で分解されるプラスチックで、分解者がいないという従来のプラスチックの問題点を解決するものです。
プラスチックの原材料に植物などの自然由来のものを使用するというアプローチがひとつ。
原材料にはこだわらず、分解者である微生物によって分解可能なプラスチックを開発するというアプローチがもう一つです。
理想的には原材料が植物のような自然のもので、幅広い微生物に分解してもらえる生分解性プラスチックが求められます。
また、海洋ごみに焦点をあてた研究も進んでいます。
プラスチックによる環境汚染が深刻なのが海です。
分解されないまま海底にとどまったり、漂流しているうちに誤って海洋生物に飲み込まれるなど、影響ははかりしれません。
地球全体で海洋ごみとなっているプラスチックの量は年間800万トンのペースで増え続けており、2050年には魚介類の重量を上回ってしまうというデータもあります。
一刻を争う状況の中で、海で分解される海洋生分解性プラスチックの普及が急がれます。
製品としての強度や機能を保ちつつ、役割を終えて廃棄物となった段階では短期間で分解される素材であることが求められます。
日本では2021年4月に大分県の中津市のスーパーマーケットで日本初となる海洋生分解性プラスチックを使用したレジ袋が導入されました。
15年以上にわたって海洋生分解性プラスチックについて研究を積み重ねてきたキラックスによるものです。
国際基準ISOに準拠した第三者機関による試験では1年間で90%が分解されたという結果を残しています。
また、海洋生分解性プラスチックにより作られたレジ袋が実際に分解されていく実験展示が名古屋港水族館で行われました。
国内の海洋生分解性プラスチックの普及はこれからですが、様々な角度から海洋プラスチックごみの問題の解決に向けての研究がすすめられています。