銀杏は何の実?どうやって食べるとおいしいの?食べる以外の使い道とは

銀杏(ぎんなん)は、イチョウの木からとれる秋の味覚であり、日本では古くから食材や薬用として親しまれてきました。

イチョウは約2億年以上も前から地球に存在していたと言われ、植物界では「生きた化石」として知られています。

このイチョウの木の果実である銀杏は、果肉に覆われた硬い殻を持ち、その中に乳白色の美しい種子が収まっています。

銀杏は秋になると熟し、果肉が黄色くなって地面に落ち、独特の強い匂いを放ちます。

この匂いは人によって好みが分かれるところですが、実際の種子は臭みがなく、美味しく栄養豊富です。

銀杏を食材として利用するには、まず果肉を取り除き、種子の硬い殻を取り出す必要があります。

果肉には独特の臭気があり、手で直接触れると手ににおいが残りやすいので、手袋を使用するか、水につけて柔らかくしてから果肉を取り除くとよいでしょう。

殻から取り出した銀杏の種子は、美しい黄緑色の実で、調理法によって独特の香りともちもちとした食感を楽しめます。

では、銀杏の味を引き出す食べ方について、いくつかのポイントをご紹介します。

まず、もっともシンプルで一般的な食べ方は、軽く殻を割り、炒って塩を振る「炒り銀杏」です。

炒り銀杏は、火加減がポイントで、強火でさっと炒めると中の実がほどよく柔らかくなり、表面に少し焦げ目がつく程度で香ばしい味わいを楽しめます。

この炒り銀杏は、そのままおつまみとしても美味しく、ビールや日本酒などのお酒と相性が抜群です。

また、ほどよい塩気と柔らかさがあり、ほろ苦さも感じられるため、秋の訪れを感じながら食べるのにぴったりです。

また、銀杏を使った料理の中でも、茶碗蒸しに加えるのは古くから日本で親しまれた方法です。

茶碗蒸しに銀杏を入れると、滑らかな卵の食感と銀杏の歯ごたえが絶妙にマッチし、銀杏のほのかな苦味が良いアクセントとなります。

この茶碗蒸しは銀杏の旨味を存分に引き出し、温かくてほっとする味わいが特徴です。

茶碗蒸しの他にも、炊き込みご飯に加えて香ばしい風味を楽しむ方法も人気です。

銀杏の緑色とご飯の白が美しく映え、見た目も楽しい一品となります。

さらに、銀杏の実はもちもちとした食感があるため、お吸い物や和風スープに加えても相性がよく、出汁の風味に溶け込むことで、和食ならではの味わいを演出します。

栄養面でも、銀杏は非常に優れており、カリウムやビタミンC、葉酸といった健康維持に必要な栄養素が豊富に含まれています。

銀杏のカリウムは体内のナトリウム排出を助ける役割があり、塩分の摂り過ぎを防ぐ効果が期待されます。

ビタミンCは、風邪予防や肌の健康維持に重要で、季節の変わり目にぴったりの栄養素です。

また、葉酸は赤血球の生成に関わるため、貧血予防に役立ちます。

しかしながら、銀杏にはメチルピリドキシンという成分が含まれており、これは過剰摂取すると中毒症状を引き起こす可能性があるため、適量を守ることが重要です。

大人であれば1回あたり10粒ほど、子どもであれば数粒程度に留めると安心です。

食べる以外の利用法として、銀杏は古くから薬用としても使われてきました。

中国では漢方薬として、肺の健康を保ち、咳を鎮める効果があるとされています。

また、銀杏は記憶力を高める効果があるとも言われ、集中力の向上や脳の健康維持に役立つと考えられています。

こうした効能は銀杏に含まれる多様な成分によるものとされ、昔から健康維持に役立てられてきました。

さらに、銀杏の殻は意外にも使い道が豊富で、乾燥させて焚き火の種火に使ったり、風鈴の一部としても利用されることがあります。

硬い殻は燃焼しやすく、また独特の音色を持っているため、工夫次第でさまざまな形で再利用することができます。

また、銀杏の木そのものも、街路樹として美しい景観を保つ役割を果たしています。

特に秋にはイチョウ並木が黄金色に輝き、私たちに秋の風情を届けてくれます。イチョウの木は大気汚染に強く、都市環境に適した樹種であることから、環境保全の観点からも注目されています。

さらに、銀杏の葉は薬用としても利用され、乾燥させてお茶にすることで血流を改善する効果が期待されています。

このように、銀杏は私たちの生活にさまざまな形で役立っており、食材としてだけでなく、健康維持や環境保全の一環としても広く活用されています。

銀杏はその食感や風味を楽しむだけでなく、栄養価や薬効も兼ね備えた非常に価値ある食材です。

イチョウの木は秋に美しい景観を与えてくれ、銀杏の実はさまざまな形で私たちの生活に寄り添っています。

銀杏を味わうことで、古くから伝わる自然の恵みを感じ、健康に良い秋の味覚を楽しむことができるでしょう。

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