バーチャルウォーターを想像する
かつて人間は水を求めて旅しました。
水を飲むことは人間の生命維持に欠かせません。
砂漠における水のオアシスは命の源ですし、作物を育てる農業にも水は欠かせません。
人間は水辺に居をかまえて定住しました。
ときに自然の水は洪水などの水害をもたらしますが、それでも人間は水と共生していくことが必要です。
水資源の問題は幅広い分野に関わっています。
飲料水だけでなく、農業用水やダムの建設による水力発電など、多岐に渡っています。
とくに命の根源である水は飲料水として欠かせず、安全に飲むことができる水質の水を確保しなくてはなりません。
また、食糧としての作物を育てるには農業用水が欠かせません。
野菜などの農作物にも水は多く含まれています。
人は飲料水だけでなく、食物からも水分を補給しているわけです。
バーチャルウォーターという言葉をご存知ですか。
たとえば、トウモロコシを栽培するのには多くの水が必要です。
1キログラムあたり1,800リットルの水が必要だとされています。
生産国ではトウモロコシ1キロには1,800リットルの水が必要なわけなので、そのトウモロコシを輸入している国は1,800リットルの水についても輸入したものと考えられます。
このように、食糧を輸入している国がもしその食糧を自国で生産したらどれくらいの水が必要となるのかを推定するのがバーチャルウォーターの考え方です。
さらに細かく見ていくと、牛を一頭育てるには、餌となる大量の穀物が必要です。
その穀物を育てるには大量の水が必要です。
牛肉1キログラムを生産するにはその20,000倍の水が必要とされています。
牛肉1キログラムを輸入するということは、大量のバーチャルウォーターを輸入することでもあるというわけです。
地球上には水資源が豊富な地域と水資源に乏しい地域が存在します。
加えて、バーチャルウォーターについて考えると、食糧を生産する国と輸入する国との間でも水資源のつり合いの問題が発生します。
水資源の問題は一筋縄ではいきませんが、次回は日本の現状について考えてみます。