遺族厚生年金の受給資格と金額と中高齢寡婦加算
目次
遺族厚生年金の受給資格
下記の条件のいずれかに当てはまる方が死亡した場合、その遺族に遺族厚生年金が支給されます。
- 厚生年金に加入していること
- 厚生年金加入中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき
- 1級、または2級の障害厚生年金の受給者が死亡した場合
- 老齢厚生年金の受給期間を満たしている場合
厚生年金の加入者であっても年金を長期にわたり滞納している人などは受給資格から外れる事になりますので注意しましょう。亡くなった日の前々月までの被保険者期間において3分の2以上を納付していることが条件となります。
受給できるのは配偶者または子、父母、孫、祖父母の優先順位で支給されます。いずれも死亡した方の収入によって生活を維持していた方が対象で、年収が850万円以下である必要があります。
また、夫が死亡した時に30歳未満の妻で子がいない場合は5年間のみの給付となります。夫、父母、祖父母が受給者になる場合は、死亡時55歳以上である事が条件で受給できるのは60歳からとなっています。夫は遺族基礎年金をもらっている場合のみ、遺族厚生年金も合わせてもらえるようになっています。
遺族厚生年金の金額
遺族厚生年金は夫の年金額の4分の3が厚生年金保険から支給されるのですが、さらに子のある配偶者又は子は遺族基礎年金が上乗せされます。
遺族厚生年金の額の計算方法としては、平均標準報酬の月額×7.125/1000×平成15年3月までの被保険者期間の月数として算出した額と、平均標準報酬の月額×5.481/1000×平成15年4月以降の被保険者期間である月数を算出したものの二つを加算した金額の3/4が遺族厚生年金の額となります。子のある配偶者又は子の場合、この金額に遺族基礎年金の金額が上乗せされます。
>> 遺族基礎年金の金額
たとえば、子のある妻や子供が受給する場合は、報酬比例で算出された年金額の3/4である遺族厚生年金にプラスして、遺族基礎年金である780,100円に2人目の子供までは1人につき224,500円、3人目以降は1人につき74,800円が加算されます。
目安として亡くなった方の平均報酬月額が30万円であり、配偶者と子が2名いた場合、遺族基礎年金の1,229,100円と遺族厚生年金の369,968円を合わせて年額1,599,068円の支給となります。
子のない中高齢の妻が受給する場合は遺族厚生年金に中高齢寡婦加算がプラスされます。
遺族厚生年金の中高齢寡婦加算
遺族厚生年金の受給の際には、条件付きで中高齢寡婦加算という制度があります。
この制度は一家の大黒柱を亡くした妻のみに適用する制度であり、妻が亡くなった場合の夫には支給されません。
中高齢寡婦加算が受給できる条件は以下の通りです。
- 夫が死亡した当時、生計は夫によって維持されていた事
- 夫の被保険者期間が20年以上であった事
- 夫が亡くなった時の年齢が40歳以上である事、または40歳の時に遺族基礎年金の対象となる子がいる事
遺族基礎年金の受給対象は子のある場合のみですが、中高齢寡婦加算は子どものあるなし関係なしに条件を満たせば支給されるものであり、夫を亡くした妻が老齢年金を受給される65歳までの間の、年金が支給されない空白を埋めてくれる制度です。
子どもがいない40歳以上の人は65歳までの支給となり、子どもがいる人では子どもが18歳になるまでは遺族基礎年金の支給がありますので、それ以降65歳までが支給対象となります。
ただし、子どもがいても妻が40歳未満で、子どもが18歳になる場合は中高年寡婦加算の対象にはなりません。
中高年寡婦加算の額は、遺族基礎年金の3/4の額となっており、平成28年度は、年間585,100円の支給額となっています。
また、条件が40歳以上となっているため、子どものいない20代30代の人は、中高年寡婦加算の対象とはなりません。