海洋酸性化が進んでいる
前回は酸性雨についてでした。
酸性雨は雨に不純物が混合して酸性に近づくというものでした。
実は酸性に変化しつつあるものは雨だけではありません。
海の水も酸性方向に傾いているのです。
本来の海水は水素イオン濃度の度合いを表すphの値が8前後の弱アルカリ性になります。
このphの数値が8未満の方向、つまり酸性の方向に変化しつつあります。
海水が酸性に変化していくことを海洋酸性化と言います。
海洋酸性化の主な原因は、大気中の二酸化炭素の増加です。
実は、海の水は大気中に排出される二酸化炭素の約3割を取り込んでいます。
海水に「二酸化炭素」が取り込まれると、化学変化によってその一部が「炭酸」に変化します。
炭酸の一部が分離することで水素イオンが増加するため、水素イオン濃度が酸性方向に変化するわけです。
海の吸収された二酸化炭素は、これまでは主に海藻などによって分解されていました。
ただ、吸収される二酸化炭素の量が大量になってきたため、分解されずに海洋酸性化を導いているのです。
世界的な二酸化酸素の排出量の増加に伴って、海洋酸性化は、ここ数十年で一気に広がっています。
二酸化炭素の削減というと、地球温暖化の防止のためというイメージが強いですが、海洋酸性化の進行を防ぐためにも大きな課題になっています。
人間の社会活動の変化は自然界の変化にも大きな影響を与えています。
地球環境を守るためにも二酸化炭素排出量の削減に取り組んでいかなければなりません。