都市化だけではうまくいかない町おこし
地方から都市への人口集中が進んでいます。
かつて日本は今の都市部でさえ、田んぼと畑にあふれていました。
高度経済成長で都市部の開発が進み、多くの雇用が生まれて地方から都市部への移住者が増えました。
都市が形成されていく過程で、新しい文化が生まれ、その様子がテレビや雑誌によって全国に拡散されていきます。
都会へのあこがれから若者は都市を目指しました。
ますます、人口は都市に集中し、働き手は減少し地方の町は疲弊していきます。
地方の町は、若者の流出を防ぐために町を開発して都市化していきます。
商業施設やアミューズメント施設を誘致し、町おこしをしていきます。
町おこしさえできない町は、さらに過疎化していきます。
その結果、日本全体を俯瞰すると東京・神奈川といった大都市への人口集中、都道府県単位で見た場合は、県庁所在地など地方都市への人口流出が進み、生活が困難になる限界集落が多数生まれました。
これまで日本を支えてきた農業の担い手は減少し、農村部では後継者不足に悩まされています。
農業は肉体労働で辛い、収入が安定しない、だから若者は農業をやりたがらない。
確かに、数十年前まではその傾向が強かったかもしれません。
ただ、今は少しずつ空気が変わってきているような気がします。
こだわって栽培された野菜やフルーツ、食べた瞬間に他の米と比較しておいしいと感じられる米。
流通網の劇的な進化により、全国のおいしい農産物が身近になった現在、農業への関心も高くなってきています。
その高まりのスピードもテレビや雑誌の拡散のスピードの比ではないSNSの威力により加速しているのを実感します。
地方には地方でしかできないことがありますし、それを求める人も多いという自信を持っていいと思います。
農業をやりたい人は多い。
ではなぜ、農業をやる人が増えないのか。
それは、農業の始め方がわからない。ハードルが高すぎるからです。
一般的な企業では面接を受けてすぐに働くことができます。
しかし農業は農機具や土地など莫大な投資が必要です。
やりたいけどできないんです。
最近は農業の法人化がすすんで、就職する感覚で農業を始められるケースもでてきました。
農家の後継者不足が叫ばれていますが、世襲にこだわらなければ農家の担い手は少なくありません。
ゼロから農業を学べたり、日本一おいしい米の品種開発を目指したり、大自然の中で仲間と野菜作りを始められたり、真剣に農業を始めたい人を支援するしくみ作りをすすめる町おこしも魅力があるのではないでしょうか。
農業は始めるのが大変。
そのイメージを払しょくすることで新たなスタートが見えてきます。