耕作放棄地を何とかする
大河ドラマなど、歴史もののドラマの中では武士や貴族が主役になることが多いですが、おもな登場人物は農民です。
江戸時代の設定のドラマだと町民ものも見られますが、それ以前になると農民の登場頻度が高くなります。
農民の年齢層も若者から年配者まで幅広いです。
耕す農地の大きさが豊かさにもつながり、田畑を持つことは生きていく上で非常にありがたいものでした。
時代は変わり、現在は職業の幅も広がり、農業従事者も減少しました。
さらに、後継者不足により農業を継承できずに農地を放棄する事例も増えています。
後継者のいない農業従事者が亡くなると、農地は農業従事者でない家族に相続されますが、農地の売却には制限があるため、そのまま放置される場合が多く、耕作放棄地となります。
実際、耕作放棄地の面積は年々増加し、平成31年には423,000ヘクタールにも上ります。
耕作放棄地がさらに放置されると、土地は荒廃して作物の栽培が不可能になる荒廃農地となります。
1965年に70%を超えていた食糧自給率は現在は4割程度まで下降しています。
当時より人口は増えていますので、国内で不足している食糧は海外からの輸入に頼らざるをえません。
国際情勢が安定している時は問題ないのですが、有事の際には食糧不足になるリスクは避けられない状態です。
農業の継承に加えて、農地の有効利用についても改善していく必要があります。
農地を生かすために、耕作放棄地などの農地を中立的な立場で貸し借りできる農地バンク(農地中間管理機構)が全都道府県に設立されています。
農地の不動産屋のような役割です。
一般的な土地と違い、作物を栽培できる豊かな土地は大きな資産です。
その資産を荒廃させないためにも、農地の価値を改めて見直していく必要があります。
長野県では耕作放棄地にひまわりを植えて、食用油を取るという試みも始まっています。
農地の有効利用についての新たなアイデアをビジネス化して拡大していくことが次のステップが見えてくるかもしれません。