試行錯誤が続くこども食堂は子供たちを救うか

こども食堂が増えています。

数年前まで全国に300程度だったのが数十倍に増えています。

子供が安心して一人で食べに来られるように、料金は無料であったり、それに近い低料金であったりします。

一般的なレストランだと小さな子供が一人で気軽に来店できる雰囲気ではありませんが、こども食堂は安心して食べに行ける環境を整えています。

独りで食事をする孤食の子供が増えている中で、孤食をなんとか防ごうというのがベースにあります。

子供以外でも孤食の大人や高齢者も来店できるようにしているところも多いです。

こども食堂に行って、子供と遊んだり、勉強を教えたり、触れ合うことでお互いにプラスのコミュニケーションがとれる場になっています。

日本では、家庭の事情で親と一緒に食事が出来なかったり、十分な食事が食べられなかったりする子どもの割合が先進国の中で非常に多くなっています。

子供の貧困を何とかしたいけれど、何をしたらよいかわからなかったという方が行動を起こせるきっかけにもなっています。

意外と多い!日本の子供の貧困率は10%超

貧困率を調査する際に食事を取ることができずに生命の維持が危うい状態のことを「絶対的貧困」と言います。

また、世帯収入の状況がその国全体の平均の半分に満たない状態を「相対的貧困」と呼び、先進国での貧困とは相対的貧困のことを示します。

日本では厚生労働省が行う国民生活基礎調査を基に相対的貧困率を出しているのですが、2022年に発表された日本の子供の貧困率は11.5%になっています。

さらに母子家庭などのひとり親家庭に限定すると貧困率は半分以上にも上ります

毎日の食事が十分にとれなかったり、塾や習い事、さらには進学についても断念するなど、経済的に困窮している家庭は少なくありません。

国の支援策として、学校で使用する学用品や備品の購入から修学旅行の費用などを支援する就学支援制度や、ひとり親家庭の生活を援助する児童扶養手当などの制度も用意されているのですが、必ずしも十分とは言えません。

こども食堂とこども宅食

子供の貧困は日本でも深刻な問題として顕在化してきています。

家庭の経済状況により、十分な食事をとれないだけでなく、塾や習い事といった学習環境まで制限されてしまうことで、将来的な学力や進路にも大きな格差が生まれます。

現在は子供の8人に1人まで改善してきていますが、かつて日本の子供の7人に1人が貧困状態にあるという衝撃的な調査結果が発表されて、こども食堂は全国に広まっていきました。

ひとり親家庭にいたっては2人に1人が貧困状態です。

こども食堂は、貧困状態にある子供たちにあたたかい食事を提供することを目的として作られました。

食事代金は無料であったり、低価格に抑えられていて、地域の住民同士のコミュニケーションの場にしていくことを目指しています。

子ども達が夕食を一人で食べることなく、こども食堂に足を運んで食事をするようになり、地域の方同士に見守られてスクスク成長していくというのが理念です。

この理念に賛同してこども食堂は全国に広まっていきました。

わずか数年で10倍になるほどのスピードで増えています。

貧困状態の子ども達を何とかしたいとして始められるこども食堂ですが、必ずしもうまくいくケースばかりではありません。

本当に利用すべき子供たちが来店してこないというケースも少なくありません。

貧困しているということを周囲に知られたくないという心理は、こども食堂に足を運ぶのを妨げます。

こどもの問題だけでなく、親が許可しないという状況も多いです。

家族以外の大人とコミュニケーションをとることに慣れていない子供も少なくないですし、その場合もハードルは高くなります。

食事の問題だけでも何とかしようと考えられたのがこども宅食です。

貧困状態の家庭に定期的に食品を届けるというものです。

まわりの目を気にすることなく十分な食事を得られるという点で、こども食堂よりも利用するハードルは一気に下がります。

まずは「食べられる」ように支援することで信頼関係を作ってから、それぞれの子供達に必要なコミュニケーションをとっていくという流れが自然です。

宅配してもらえる子ども食堂

家庭で十分に食事が与えられていなかったり、保護者の仕事の関係で一人で食事をしている子供たちのために、共食の機会を提供するのが子ども食堂です。

食事は無料もしくは安価な料金で提供されます。

地域コミュニティで自発的に運営されていることが多いのが特徴で、温かく、栄養のある食事を地域の人たちと一緒に食べる機会を設け、地域で子ども達を見守るという役割を担っています。

「貧困の子供が行く場所」というイメージでとらえられてしまうと、通いにくくなってしまうので、当初から「誰でも通っていい場所」として、貧困の子供に限定しないで食事を提供するところがほとんどてす。

ただ、実際は世間体を気にして子供に行かせるのを躊躇する家庭も多いです。

苦しい生活事情であることを知られたくないという親も多いですし、子ども食堂に行っていることを友達に知られたくないという子供も少なくありません。

たしかに、食事が必要な子供たちに子ども食堂に来店してもらって、一緒に食事を食べて地域とコミュニケーションをとって支え合っていくのが理想ではありますが、食べに行くというハードルは想像以上に高いのが現状ではあります。

本当に困っている子ども達は、子ども食堂に来ることも難しいのではないか。

そこで、何らかの事情で食堂に行かない子ども達に食事を届けるために、宅配の子ども食堂を行うという活動も始まっています。

貧困状態にある子ども達のためにできること。一人でも多くの子ども達が温かい食事を安心して食べることができるように試行錯誤は続きます。

こども美容室

貧困のため、美容室に行くことが出来ない子供たちも存在します。

とくに身だしなみに敏感な女子にとって、それは大きな問題に発展しかねません。

小学校の教室で自分だけボサボサ頭であることに耐えられないという子もいるでしょう

「こども食堂」に続いて「こども美容室」という活動も始まっています。

福島県郡山市のモデル事業としての実績もある取り組みです。

全国的な広がりを期待したい活動です。

子ども食堂ではない学習カフェの可能性とは

世界的に見ても日本は豊かな国であると疑問を持たずに生活をしている方は多いです。

駅前では募金活動が行われ、スーパーのレジ横にも募金箱が置かれていることもよく目にします。

募金の使用目的として世界の子供たちへの支援をうたうものも多くなっています。

そうしたこの国で、実は多くの子供たちが貧困状態にあるという事実は意外でもあり、何とかしようと行動に移す方も少なくありません。

子ども食堂は増えて、一定の成果をあげつつありますが、必ずしもうまくいっている所ばかりではないようです。

子ども食堂の多くは「貧困の子供がいく場所」というレッテルを貼られて店に入りにくくするのを避けるために誰でも入れる、来るものを拒まないというコンセプトで運営されています。

そのため、コストが重なり、ボランティアだけでの運営が厳しくなり短期間で閉店するという事例も珍しくありません。

栄養バランスのためを思って言った「野菜も食べてね」という一言が、好き嫌いの多い子供にとってはつらく残せない雰囲気を与えてしまうなど、運営もカンタンではないようですが、試行錯誤を重ねて一歩一歩理想に近づくように改善されています。

地域に住民同士がコミュニケーションをとれる場所があり、結果として貧困状態の子供も巻き込んでサポートしていけるという意味で、子ども食堂は役割を果たしています。

最近は、学習の観点からのアプローチとして、学習カフェと言う活動も行われています。

塾のように強制的に勉強をさせられる場所ではなく、勉強するというきっかけを通してスタッフや他学年の子供とコミュニケーションをとりつつ食事もすることができるというスペースです。

「勉強をしにいく」という目的があるため、親も子供を行かせやすいですし、食事もとれるということで子ども食堂の役割も果たしています。

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