ビニールハウスで利用するCO2を効率的に
地球環境が議論される際に無視できないのが二酸化炭素です。
二酸化炭素を主とする温室効果ガスの世界全体の排出量の増加は地球温暖化の原因とされています。
世界各国では近年、CO2排出量を抑止する政策が取られるようになってきています。
ただ、二酸化炭素自体が悪者なのではありません。
人工的な社会活動により、過度に増加していることが懸念されているわけです。
たとえば農業の世界では二酸化炭素は欠かせません。
農作物は光合成によって成長します。
植物は葉から二酸化炭素を取り込み、根から水を取り込んで日光の光エネルギーとともに光合成を行い成長していきます。
とくに屋内で栽培するビニールハウスでは、光,水,二酸化炭素の調整が欠かせません。
また、ビニールハウス内のCO2濃度を上昇させることで農作物の成長を促進させる働きがあることが確認されています。
そのため、光合成促進機として二酸化炭素・炭酸ガス発生装置をビニールハウスに導入するケースが増えています。
人工的に二酸化炭素を発生させてビニールハウス内の農作物の生産量を増加させるというものです。
現状ではこの二酸化炭素発生装置の燃料には化石燃料が使用されている場合が多いです。
この点に着目したのが前回紹介したCRRA(一般社団法人 炭素回収技術研究機構)です。
CRRAはイノチオアグリ株式会社との共同研究として、大気中の二酸化炭素を回収してビニールハウス内に送り込むという仕組みを開発しています。
太陽光エネルギーの利用により、環境にやさしく農業にも生かせるシステムです。
今後、二酸化炭素回収の技術が磨き上げられていく過程で、回収した二酸化炭素をどのように利用していくかが課題になってきます。
その有力な選択肢の一つとしてビニールハウス内での利用が挙げられます。