コスタリカはカーボンニュートラルの先を見据えている
コスタリカについての過去3回の記事を通して一貫して言えるのが、国の方針、目指す方向が明確に示されていて、政府が率先してその方向に導いている力強さです。
森林破壊により国土に占める森林の割合が1987年には21%にまで落ち込んでいたところ、現在は50%以上に回復しています。
自然保護の政策を推進し、観光業の発展とともに国力を高めています。
エネルギー政策も自然保護の観点から見直しが進んでいて、主な発電方法は水力で国内電力の約75%を占めています。
さらに風力が約15%、日本と同様の火山地帯でもあるため、地熱エネルギーの比率も8%を占めています。
全体としてコスタリカの電力は98%が再生可能エネルギーでまかなわれています。
ほぼカーボンニュートラルを達成しているのですが、その先の脱炭素化経済も見据えています。
具体的には、自家用車や公共交通システム、貨物輸送について、脱炭素化をすすめる方針を発表しています。
自家用車については、ゼロ・エミッション化を目標に据えています。
ゼロ・エミッションとは、自然環境を汚染する廃棄物を排出しないエネルギー源のことで、ゼロ・エミッション化したエンジン、モーターによる輸送を目指しています。
技術的な課題はあるものの、方針が明確なので、それを実現するためのロードマップに沿って着実に推進することができます。
2025年にはゼロ・エミッション二輪車をすすめていき、2035年にはバスやタクシーなどの交通機関の70%をゼロ・エミッション化し、鉄道の100%電化を達成します。
2050年には、バス・タクシーは100%ゼロ・エミッション化。
自家用車については新車の100%をゼロ・エミッション化し、登録車の60%のゼロ・エミッション化を目指します。
国内電力のカーボンニュートラルを目指す国は多いですが、コスタリカはそれだけにとどまらず自家用車も含めたあらゆるエネルギーについて網羅した方針を打ち出しています。
見せかけではない本気の環境政策が一歩一歩進められています。