日本の農業人口の減少と高齢化はピンチか?
農業従事者の数は2015年に197万人でしたが、2020年には152万人と45万人も減少していることが農林水産省が行った「2020年農林業センサス」の調査によって発表されました。
高齢により廃業する方が増えたことなどが影響していると考えられます。
別の調査によると個人と法人を合わせた農業経営体の数は2000年には約230万でしたが、2017年の段階で125万に減少しています。
ほぼ半減です。
高齢化により廃業する農家が増えるという傾向は、今後も続くと思われます。
ただ、一つだけ増えているものがあります。
それは農業法人の数です。
20年間で約5,000から約20,000へと4倍に増えています。
実はこの農業法人の増加が日本の農業の行く道を示しているのかもしれません。
アメリカなどの農産物輸出国の多くは、広い農地面積を生かしています。
広大な農地で少ない人数により効率的に農業を行います。
徹底的なコスト管理により、低価格の農産物を生産しています。
世界的にもアメリカのような大規模農業が主流です。
日本は島国であり、森林が7割弱を占めていて古くから農地の確保に苦労してきました。
日本が大規模農業に完全に転換することは難しいです。
ただ、高齢化による個人農家の廃業と農業従事者の減少により、農地が減少していくことは避けなくてはなりません。
先ほどのデータは、個人農家は減少しているが法人農家は増えているというものでした。
廃業した農地や放置された農地を集約して、法人農家が農地として継続させていくという流れの転換がうまくいけば、農業の衰退を止めることができるかもしれません。
農地を集約して少ない人数で運営していく。
こう言うと、丁寧な作物づくりによる質の高い農産物という日本の農業の良さが失われてしまうイメージを持ちがちですが、いくら集約しても日本の農地の規模は、海外の大規模農業とは比較になりません。
日本の農地の規模では、集約しても質の高い農業は可能です。
高齢化による農業人口の減少というピンチをチャンスにすることが重要です。