少ない農地面積で農産物輸出で世界2位のオランダ
世界の農産物輸出ランキングの第1位はアメリカです。
2020年の輸出額は1,400億ドルを超えてダントツです。
1位のアメリカを除いて1,000億ドルを超えているのは1ヵ国です。
2位のオランダです。
オランダの国土は日本の九州と同じくらいにもかかわらず、輸出額は日本とは比較になりません。
日本の輸出額は世界43位です。
オランダは国土の3割は海面より低い土地ですし、気温も高くありませんが、元々、農業のさかんな国でした。
国土の特徴により水害に悩まされてきた歴史があり、干拓技術や地質改良といったテーマと正面から向き合う必要がありました。
それらの積み重ねにより、農業に関する経験と技術は非常に高いものがあります。
寒冷な土地で品種改良などの積み重ねで米栽培を確立した北海道と似ているところもありますね。
そのオランダの農業にも危機がありました。
1980年代に当時のEC(欧州諸共同体)による貿易の自由化でヨーロッパの関税の壁がなくなり、安い農産物がオランダ国内に入ってくるようになり農業従事者は危機的状況に陥ります。
危機を脱するために、これまで栽培されてきた農産物の品目を政府が主導して輸出で利益が出る農産品目に絞り込みます。
具体的には、トマトやパプリカ、チューリップなどの花などに集中しました。
品種改良や栽培方法の研究開発についても少ない品目に集中して取り組むことができるため、さらに技術が進化していきます。
たとえば、千平方メートル当たりのトマトの収穫量は日本では20トン程度ですが、オランダは70トンです。
さらに、フランスやドイツといった世界的な先進国に近いため、新鮮な農産物をそのまま短時間で輸送することが可能であることもオランダ農業に有利に働きます。
国土の狭さなどオランダは日本と似ている点もありますが、日本は隣国と海を隔てている島国であり、一概にオランダをお手本に真似できるということではなさそうです。
オランダ特有の条件が重なって現在の農業大国という地位を築いています。