森林環境税は放置林の問題を解決できるか
放置林が増えることで、森林環境が悪化して土砂災害などのリスクが高まるだけでなく、スギ花粉による花粉症の深刻化も進んでいます。
かつて植林された人工林は森林の40%を占めていますが、林業の衰退とともに、林業従事者の減少に歯止めがかからず、人の手が入らずに荒れ果てる人工林が増えています。
個人が所有する私有林の90%が10ヘクタール未満の小規模林家が占めていて、採算性の問題からなかなか積極的に管理を行うことが難しい環境になっています。
さらに、多くの人工林の樹齢が50年を超えていることも問題になっています。
これまでは間伐を行って森林を育てていく段階だったものが、いよいよ主伐を行って利用していくステージになっています。
どのように有効活用していくかを考えていく必要があるとともに、採算をとれるような仕組みが不可欠になっています。
そこで森林バンクという考え方も検討されています。
管理が難しくなった小規模な放置林を市町村が預かり、束ねられた森林を希望する林業従事者に貸し出すというものです。
ある程度の規模をもった林業経営者が一括して管理を行うことで、作業の効率化を見込むことができ、採算ベースに乗せていく可能性も見えてきます。
2019年3月には「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律」が成立し、2024年度から森林環境税が課されることになりました。
森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律の第34条第3項にあるように自治体は税の使い道を公表しなくてはなりません。
これまで森林対策を積極的に行ってこなかった自治体も個々の地域での有益なプロジェクトを推進することになります。
森林の整備のために一定の予算がつくことで、放置林の問題の解決への第一歩となることが期待されます。