再生可能エネルギーだけで電力をまかなうアイスランド
国名からも想像できるように、アイスランドは高緯度に位置します。
北極圏にあるにもかかわらず、メキシコ暖流の影響で思いの外、極寒というわけではありません。
緯度的には日本よりもはるかに北にあるのですが、気候は日本でいうところの青森、秋田と同程度か少し暖かい感じです。
そうは言っても、しっかりとした寒さ対策も必要で、そのために多くのエネルギーを消費します。
一人当たりのエネルギー消費量は日本の5倍にものぼります。
さらに、驚くことに国全体のすべてのエネルギーを再生可能エネルギーで賄っていて、電力については自給自足を達成しています。
電力の7割が水力発電で残りの3割が地熱発電です。
エネルギーを自国で確保できるということは、国際的な不況や危機の影響を受けにくく、経済的にも安定した着実な発展を遂げることが可能になります。
日本と同様の火山大国であるアイスランドでは、地熱発電だけでなく、暖房システムなど、巧みに地熱を活用しています。
こうしたアイスランドの仕組みに学ぶべきことは日本にも多いです。
アイスランドでは氷河も多くみられます。
観光産業も盛んで、氷河は貴重な観光資源になっています。
その氷河がアイスランドでも確実に減少しています。
先日、日本でも展覧会が始まったアイスランド系デンマーク人アーティストのオラファー・エリアソンは、氷河の減少の様子を「溶ける氷河のシリーズ 1999/2019」で表現しています。
太古から守られてきた氷河のある風景は、日本では日常的に目にすることはできません。
ただ、氷河の最前線であるアイスランドではそれが日常の風景であり、それが失われていく事実を目の当たりにしているのです。
こうした環境の問題は、環境にやさしい国であるとはいえアイスランドだけでは解決できません。
地峡規模でこうした事実から目を背けないで想像力を働かせていくことが求められます。