マングローブが見直されている
人間の社会活動による二酸化炭素の排出量の増加は、地球温暖化や海洋酸性化などに影響を与えています。
その取り組みとしては二つが考えられます。
一つは二酸化炭素の排出量を減らすこと、もう一つは二酸化炭素を吸収してくれる植物などの保護です。
後者の役割を果たす存在として見直されているのがマングローブです。
マングローブとは、熱帯や亜熱帯の潮間帯にある植物群落のことを言います。
おもに川の真水と海の海水が混じりあう汽水域と呼ばれる地域に発生します。
このマングローブは熱帯雨林に匹敵するほど多くの二酸化炭素を貯めることができるので、環境面で注目されています。
マングローブの特徴は地下部分に多くの炭素を蓄積できることです。
熱帯雨林の地下部分に蓄積される炭素の量は1haあたり100トン以下とされていますが、マングローブは1300トンを超える量の炭素が蓄積されます。
マングローブには多くの二酸化炭素を吸収し、炭素として地下に蓄積するという働きがあるわけです。
その他にも海からの波や風による災害から守る働きや、陸地から土砂や汚水が流出するのを防ぐなど、海と陸地の間の調整役として重要な役割を持っています。
このマングローブですが、近年減少し続けています。
東南アジアでは人口の増加のため、マングローブを水田に転用する試みが行われましたが、海水が残る土壌では稲が育たずに放置されてしまうケースも少なくありません。
また、マングローブを伐採してエビの養殖場を建設するなど、その生息域は減ってきています。
東南アジアのマングローブの2%にあたる100,000ha以上が2000年から2012の間に失われたというデータもあります。
ただ、近年の地球温暖化や二酸化炭素削減などの環境問題の深刻化により、マングローブを守っていこう、さらには増やしていこうという取り組みも少しずつではありますが増えてきています。