プラスチックの分解者という進化
自然界に存在する物質はそれを分解する細菌や微生物などの分解者が存在し、食物連鎖を形成しています。
分解された有機物は無機物となり、植物によって吸収されて再び有機物となり、連鎖していきます。
プラスチックというものはもともと自然界には存在しない素材です。
そのため、分解されないまま小型化していき、堆積していきます。
たとえば、海に流れこんだプラスチックは小型化していきますが分解はされません、誤って魚などに食されて、その魚を食べた大きな魚の中でも分解されずに堆積していきます。
魚の体内に濃縮されたプラスチックは人間の口に入るかもしれません。
最近では、水道水からプラスチックが見つかったという事例もあります。
多くの生物に影響を与えつつあるプラスチックをめぐっては、ストローやコップ、レジ袋など、これまで便利に大量に使われてきたプラスチック製のものの使用を控える動きが広まってきています。
地球環境の未来を考えると、現在広まりつつあるプラスチックの使用を減らそうという動きに加えて、すでに地球全体にばらまかれてしまったプラスチックを何とかしようという動きも欠かせません。
そこで研究されているのが、プラスチックを分解する微生物についての研究です。
人工物であるプラスチックが問題視されているのは、分解者がいないという点です。
そこでプラスチックを分解する微生物や細菌を見つけることで効果的な対策ができるのではないかという考えです。
世界中でプラスチックの分解者を探す研究がされる中で、2021年10月にスウェーデンのチャルマース工科大学より、プラスチックを分解する酵素が存在する可能性があると発表されました。
その酵素はプラスチック汚染がすすんだ海域でその数を増やしているといいます。
また、すでにプラスチックを分解する可能性がある酵素も数万単位で見つかってきています。
プラスチックという新たな物質に対して、自然界が進化してきているともいえます。