知らない間に食べているパーム油が問題な理由
油っこい食事はできるだけ控えるようにしているという方は少なくありません。
健康診断や人間ドックでコレステロールの値が高いと指摘されて控えている方も多いです。
ダイエット目的の方や美容への意識の高い方も敬遠しがちです。
逆に油っこい食事が大好きという方もいます。
唐揚げ、ポテトチップス、カップラーメンなどは油っこい食べ物の代表格です。
油、つまり脂質は悪者とされがちですが、脂質も炭水化物、たんぱく質と並んで三大栄養素の一つとされています。
私たち人間が生きていくためには欠くことのできないエネルギー源なのです。
そんな油ですが、みなさんが油として思い浮かべるのはどんな油ですか。
サラダ油、オリーブ油、ごま油などですよね。
実は、ポテトチップス、カップ麺などに使われているのはパーム油という油なんです。
パーム油は、固形でも溶かした形でも使用できる油として多くの加工品で使われています。
固めた状態ではマーガリンやチョコレート、フライのための油としてポテトチップスやファーストフードでも重宝されています。
食品表示としては「植物油脂」と記載されますので、名前を知らない方も多いと思います。
加工の際に使用されるため「見えない油」として知らず知らずのうちに私たちの体内に入ってきているのがパーム油です。
パーム油は、「アブラヤシ」から採れる植物油です。
パーム油は用途が幅広く、酸化しにくく、揚げた際にもサクッと仕上がるため食品メーカーでも人気の油になっています。
現在はインドネシアとマレーシアで8割が生産されていますが、需要が増え続けています。
それに伴い、環境破壊の問題がクローズアップされてきています。
アブラヤシは赤道直下の熱帯地方でしか育たないため、増える需要に対応するには熱帯雨林を伐採して開発を進めるしかありません。
インドネシアとマレーシアでは過去20年間に約360万ヘクタールの熱帯林が伐採され、アブラヤシ農園に姿を変えました。
ボルネオのオランウータンは森林伐採などの影響で半減し、16年間で15万頭減少しています。
パーム油がもたらす環境への影響の問題は日本でもまだまだ認知されているとは言えません。
RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)という世界規模の団体も出来ていますが、認証制度などの認知も低いです。
まずは消費者に広く認知されて、環境問題に配慮した油を使用しているかどうかの選択ができるようになることが望まれます。