東京オリンピックの聖火は水素エネルギー
コロナ禍のもと、開催の可否が二分されましたが、2020年から延期された東京オリンピックがスタートしました。
開会式を迎える前にも聖火リレーが行われ、日本全国を聖火が巡りました。
今回使用された聖火トーチは日本風を表すのにふさわしい「桜」をモチーフにデザインされましたが、燃料には水素が採用されました。
水素を燃料にした聖火トーチはオリンピック史上初めていうことです。
CO2を排出しないクリーンエネルギーを採用することで、環境への配慮を意識したオリンピックをアピールしています。
使用された水素は、福島県浪江町の福島水素エネルギー研究フィールドにて太陽光発電の電力を利用して製造されました。
浪江町は「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ」を宣言していて、水素社会の実現への第一歩を踏み出すことを世界へ発信する機会となりました。
また、聖火リレーの運営車両にも燃料電池車(FCV)が採用されました。
FCV(燃料電池自動車)は水素と酸素の化学反応によって発電した電気エネルギーを利用してモーターを回して走ります。
もちろんCO2などの温室効果ガスを一切発生させません。
水素技術を最大限に利用した取り組みにより、日本の水素技術の高さをアピールするものとなりました。
聖火リレーを終え、開会式の際に聖火台に灯された成果もまた、水素燃料が使用されています。
水素は燃焼時に無色透明の炎であるため、炭酸ナトリウムによって黄色く着色してデザインされました。
当初は復興五輪とし華々しく行われる予定であったオリンピックですが、コロナ禍の厳戒態勢の元で実施されることになりました。
そうした中で、太陽光エネルギーによって福島で製造された水素を用いたオリンピック聖火は少なからず世界に向けて復興のメッセージを発信できたのではないかと思います。