小麦から米へのシフトで水田が増えるメリットとは
世界的な小麦価格の値上がりから、供給が安定している米を見直すきっかけになっています。
米の需要が増えることで、米農家の方も生産の拡大を検討することが可能になります。
米は日本国内で自給自足できる貴重な食糧です。
かつては年貢米という形で何万石と石高によって領地の規模を表していました。
1石は約150キロで1年間で一人が食べる米の量という目安がありました。
明治時代には、生糸などと肩を並べて、主要な輸出品になっていました。
輸出のきっかけは、コメの豊作になったことで、外貨獲得の需要な手段としての役割を果たしていました。
その後、1889年の水害で収穫量が落ち込み、輸入に頼るようになります。
米の価格の高騰で米騒動なども発生しました。
再び、米の自給を回復するのは戦後を待つことになります。
米の自給回復後は高度経済成長期に入り、国民の生活水準が上がるとともに食生活が多様化していきます。
米の消費は1962年をピークに減少を始め、現在に至ります。
米の消費が減り続けているため、生産量も減っています。
生産量が減るということは水田の減少も意味します。
実は水田には米を作る以外にも役割があります。
田んぼに生息する生き物たちの住処になり、生態系の一翼を担っています。
また、水田には水のろ過機能もあるのです。
水田に蓄えられた水は作土層、鋤土層を通って地下水帯にしみ出していきます。
水が何層もの土の層を通り抜けることで、不純物が濾過されてきれいな水になっていきます。
さらに水田は地下水の量を一定に保つことで、地盤沈下を防いだり、水害の防止にも役立っています。
貯められた水が蒸発して水蒸気になる事で、気温を抑える役割も担います。
米の生産が増加し、水田が増えることで、このような水田の持つ重要な機能が回復することが期待できます。