水没の危機にある国があるということ
地球上では太古の昔から地形の変化が続いています。
火山の噴火により島が出来たり、山の形が変わることもあります。
雲が出来て雨が降り、地下水が湧きだして川となり、その流れは砂や土を運び、ある場所では川の流れに削られ、ある場所では堆積します。
海岸では波が砂を運び、波が砂を削ります。
地球の表面を覆うプレートは常に移動しており、その動きで地震が発生したり、長い年月をかけて大陸の形を変えていきます。
これらの地形本科は太陽の惑星としての地球本来の活動です。
ただ、人類の各種の活動が劇的に変化してきたここ数百年では、人類の立ち振る舞いの影響と考えられる変化も起こっています。
その一つが海面上昇です。
1901年から2010年までの間に地球の海面は平均19cmも上昇しました。
海面上昇の原因は地球温暖化による気温上昇と氷河の融解と考えられます。
地球温暖化は、産業革命以降の人類の経済活動により排出量が急激に増加した二酸化炭素の影響とされています。
古くからの地形変化とは別の要因、人類の活動による地形変化が起きつつあるのです。
温暖化の他にも埋め立てによる海岸線の変更が潮の流れに影響を与えて、周辺の砂浜が消えていくというような事例も確認されていますし、近年の異常気象とも言える極端な自然災害や気候変化にも少なくない影響を与えていると考えるのが自然です。
海面上昇が続くと水没する国も出てきます。
海抜1.5mほどのツバル、2mほどのキリバス共和国などです。
NASAの最新の研究では、1990年代は1年で2.5mmの海面上昇のペースだったものが、現在は毎年3.4mmのペースになっているとされ、2100年には今より65cmの海面上昇が推定されるとしています。
地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の排出量の大部分は先進国によるものです。
二酸化炭素の排出量を減らそうというパリ協定が採択されましたが、アメリカは離脱を表明しました。
水没の危機にあるツバル、キリバスは、近隣のオーストラリアとニュージーランドに環境移民としての受け入れを要請しましたが、オーストラリアは拒否、ニュージーランドも環境移民としてではなく労働移民としての受け入れにとどまっています。
両国の難民の受け入れを表明したのはフィジーでした。
フィジーは、二酸化炭素排出量は決して多くはないですし、二酸化炭素排出の削減を目指した京都議定書の最初の批准国でもあります。