磯焼けは海の砂漠化
陸上で生活する生物にとって森や植物は欠かせません。
陸上には平野があり、山があり、森林地帯もあります。
実は海にも陸上でいうところの森にあたるものが存在します。
海藻が多く生えている海中林と呼ばれる場所です。
ワカメやコンブ、アラメやカジメといった海藻が生い茂る藻場となっています。
海中林は、海中での光合成を活発に行います。
また、窒素やリンを吸収して水質を浄化したり、海中生物の産卵場所としての役割も担っています。
この海中林が姿を消す状態を磯焼けといいます。
磯焼けにより、海藻が焼失してしまうと海底の岩や石が露出した状態になり、まさに海の砂漠となります。
藻場が減ると、海藻を餌にするアワビなどの漁獲量が減少します。
また、産卵場所がなくなるため漁業への影響ははかりしれません。
磯焼けは大雨の際のダムの放水により淡水や泥が海に放出されて起こることが知られていますが、そうした要因がない地域でも発生しています。
その一つが海水温の上昇などの環境変化です。
海水温の上昇により、海藻は衰弱し、弱った海藻は波で流されやすくなります。
強力に海藻を食べつくす生物の影響も指摘されています。
ウニの一種のガンガゼは減少した海藻を生えてくるそばから食べてしまうほど生命力が強いです。
魚も海藻を食べますが、アイゴやイスズミはあまり食用とされていないため、駆除の対象にもなっています。
長崎県の五島列島でも磯焼けは深刻化しています。
もともと豊かな藻場として漁業がさかんな地域であるため、大きな打撃となっていて、海を守る活動も行われています。。
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地球環境は日々変化していますが、それは地球で暮らす生物、とくに人間の活動の影響を少なからず受けています。
海水温が上昇することひとつをとっても、原因はひとつではなく、さまざまな要因が考えられますし、その影響も多岐に渡ります。
小さなことが積み重なって起きることへの想像力が必要ですし、良い方向へ変えていこうと考える意思も求められています。