海洋温度差発電とは
前回は、波力発電について扱いました。
今回は、海洋温度差発電です。
波力発電は海の波の力を利用して発電しますが、海洋温度差発電は文字通り、海の温度差を利用して発電します。
海水の温度は、一定ではありません。
表層部分は、太陽から日光を浴びるため温度は高くなります。
逆に海面から深い部分の海水温度は太陽光が届かないため低くなります。
太陽光エネルギーにより温められた表面と深い部分とでは海水の温度差が生まれます。
海洋温度差発電では、この温度差を利用します。
ポイントとなるのが、アンモニアなどの沸点の低い物質です。
水の沸点は100度なので、100度になると沸騰して気化して水蒸気になります。
アンモニアはこの沸点が低く、低い温度で気化します。
まずは、海の表面部分のあたたかい海水でアンモニアなどを気化させて、その圧力でタービンを回して発電します。
さらに、気化したものを温度の低い海の深い部分に送り込んで液体に戻して、その液体をもう一度、海の表面部分で気化させて発電するということを繰り返すのが海洋温度差発電です。
海洋温度差発電は海水の温度差で発電する仕組みなので、二酸化炭素などの温室効果ガスを排出しないため、環境にやさしいというのが特徴です。
また、海水の表面部分と深い部分の温度差は年間を通して一定ですし、天候に左右されないため、安定した発電が期待できます。
日本でも久米島で海洋温度差発電の実用実証設備によって発電実験が行われています。
発電の過程で淡水が生成され、従来の海水の淡水化技術と比較して10分の1のコストで淡水化できることもメリットです。
その他にも海水中のリチウムを回収するなど、複合的に利用できる可能性を秘めています。
今後は未来に向けて環境への影響の調査やコスト面などの調整をして、実用化を目指しています。