磯焼けの原因は?
海の沿岸部で海藻が多く生息する場所を藻場といいます。
その藻場で海藻が減ってしまう現象のことを磯焼けと呼んでいます。
海流が変化して起こる場合もあるし、河川からの大量の泥が流入したり、水質が汚染されて磯焼けになることもあります。
また、海藻を好む生物により海藻が食べつくされてしまうというケースも少なくありません。
海藻は光合成をします。
そのため、海水が汚染されて透明度が低くなると十分な光合成ができずに生息しにくくなります。
磯焼けが起きることで、アワビやウニなどの漁獲量も減少してしまいます。
また、海藻が生い茂る藻場は、海の生き物の産卵場所や隠れ家ともなっています。
磯焼けで藻場が減少することで、海の生態系にも大きな影響を与えます。
日本沿岸でも磯焼けが広がるスピードは深刻で、宮城県の調査では数十年で藻場が5分の1にまで減り続けています。
磯焼け状態の藻場を再生するには長い時間がかかります。
また、藻場は光合成で二酸化炭素を吸収して炭素として蓄えるという生物ポンプの役割も果たしています。
森林などの陸上で炭素を吸収する吸収する生態系をグリーンカーボン生態系と言いますが、海中で同様の働きをする海藻などの植物はブルーカーボン生態系と呼ばれます。
海藻などは沿岸部など、太陽光が届く範囲にしか生息しておらず、海洋全体の1%未満の範囲にしか生息していません。
それでいて、貯蔵する炭素の量は海洋全体の40%をしめています。
温室効果ガスであるC02を蓄えて減らす能力も秘めているのです。
海の環境の変化は海への影響だけでなく、地球全体へも深刻な影響を与えています。
磯焼けは海の砂漠化とも言われています。
日頃は、私たちの目の届かない海中で少しずつ砂漠が進行しているという事実にも目を向けていかなければなりません。