風力発電の効率化に成功したスペイン
前回はカーボンニュートラルと自然エネルギーへのシフトは似ているがイコールではないという内容でした。
一方、スペインは電力のうちの再生可能エネルギーが占める割合を2030年までに70%とし、2050年までには100%にするという方針を2018年に示しています。
すでに現在でも再生可能エネルギーの発電割合が40%を超えています。
とくに風力発電については20%を超えています。
スペインといえば、風車に戦いを挑むドン・キホーテの舞台となったラ・マンチャがあります。
ラ・マンチャは今でも風車で有名な町です。
スペインはこのラ・マンチャにかぎらず風力発電が進んでいます。
風力発電のような自然エネルギーの弱点は天候などによって発電量が左右されて安定しないということです。
この点をスペインでは、発電状況の監視と送電の一元化をすることで解決しています。
発電する会社は複数あるのですが、管理と送電はレッド・エレクトリカ・デ・エスパーニャ(REE)の1社のみとなっています。
REEはCECRE(再生可能エネルギーコントロールセンター)という組織により、スペイン全土の発電量を監視したり、天候から発電量を予測して各発電所の発電割合を制御してバランスを保っています。
その結果、2009年には1日ではありますが風力発電の発電比率が75%になったという驚きの記録も出ています。
けっして小さな国ではないスペインの電力を風力だけで賄ってしまうということが現実にありうるわけです。
日本では電力会社が発電も送電も管理しています。
何年か前から電力自由化とうたわれていますが、根本的な変化は起こっていません。
発電と送電を分離するということはもちろんですが、スペインのように日本全体の電力を一元管理してコントロールできる仕組みを作ることも大切です。