香川県が「うどんまるごと循環プロジェクト」うどん県から環境県へ
うどんと言えば思い浮かぶ都道府県がありますよね。
そうです。香川県です。
自ら「うどん県」と名乗るほどうどんに特化した都道府県です。
一人当たりのうどんの消費量は全国1位です。
店舗数自体は東京の5分の1程度なのですが、人口10万人当たりの店舗数では断トツの全国1位です。
現在のようにうどんと言えば香川県と呼ばれるまでに、うどんが盛んなのには理由があります。
まずは、気候です。
香川県のある瀬戸内海地方の気候は雨が少ないのが特徴になります。
夏の季節風は四国山地が、季節風の向きが反対になる冬の季節風は中国山地によって遮られて乾いた空気となって流れ込み降水量が少なくなります。
雨が降らないため、ため池の数も多く、全国3位です。ただ、香川県は日本で一番面積が小さい都道府県でもあります。土地面積当たりのため池の密集度では全国1位です。
雨が少ないため、稲作にはあまり適していません。米作りにはたくさんの水が必要です。
そこで昔から小麦の生産が盛んでした。うどんの材料でもある小麦粉が豊富にあれば、うどんを食べる機会も増えていきます。
さらに、塩も要因の一つと言われています。
昔の塩作りは、海水を砂浜にまいて蒸発させて濃縮を繰り返して作っていました。そのため、雨が降らずに晴れの日が多いことは塩の生産に好都合だったわけです。
そして小豆島を中心に醤油の生産も盛んです。
香川県には讃岐うどん作りに必要な条件がそろっていたわけです。
うどん県としての香川県の取り組みは、ただうどんを有名にするだけではありません。
2012年からは学民官の協働プロジェクトとして「うどんまるごと循環プロジェクト」がスタートしました。
香川県民一人当たりのうどん消費量が220玉と全国最多である一方で、廃棄されるうどんの量も年間6000トンと多くなっており、廃棄うどんを再利用する循環サイクルを構築しようということでプロジェクトが始まりました。
食べられずに廃棄されていたうどんや食品廃棄物をもとにバイオガスを生成して「うどん発電」を行う仕組みが作られて2014年には75,000kWhの発電が行われました。
残ったうどんから「うどん液肥」という液体肥料を作り小麦畑にまいて栽培を行う取り組みもすすめられています。
香川県はうどん県にとどまらず、「環境県」を目指して持続可能な循環型社会のモデルの構築にも取り組んでいます。